情熱の温度



 巣山の、オレより少し温度の高いあの掌を後頭に感じている。
 じわりと力が込められて、心地よい圧迫感とともに引き寄せられていた。
 あたたかい、といき、くちびる、むねのおと。
 巣山の唇はやわらかくて・・・こんなに、やわらかなものを彼が持っているなんてすごく意外だった。
 それから、目を閉じた巣山の顔は想像以上にきれいで驚いた。
いろいろ、「わぁ・・・」って思ったことがあったけど、一番驚いたのはお互い同じくらいの体温なのに。
 キスの温度は、あたたかいとかあついとかじゃなくて。
 オレがはじめて感じる、温度だった。
 興奮とか、高揚とか、幸福とか。何度だなんて、測れない・・・究極の体感温度。
 巣山の温度。そして、オレの温度。
 そのふたつが重なると・・・意識が飛びそうになる。
 理性を蕩(とろ)かす温度。
 ああ、流石にこれは・・・教科書は、教えてくれないね。


END

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