MY HERO?or OUR HERO?
「やべー田島がカッコイイ〜」とか「ナイスって当たりじゃねぇけど・・・田島に、言われると悪い気はしねぇな」とか・・・なんか、オレ、ちょっと田島にこだわりすぎじゃねぇか?
いや、まぁ・・・実のところこだわってるっつーか、注目してんだけどさ。
それにしたって、「シフト抜く力あるぞ」とか「頼むぜ、5番!」とか言われちゃうと、どうにも冷静でいられないのも本当なわけで・・・うぉっ!てなっちまう。
意識しすぎか、オレ?
で、でも・・・オレだけじゃねぇぞ?!きっと、他の奴らだって田島にいわれたらぜってー「おっ」って思う。
そうだ、桐青戦の時に三橋と水谷とオレで「田島ぁ!てめぇ、打てよー!」ってベンチから檄を飛ばしてたら、アイツバッターボックスに行く足を止めて、くんっと軽く振り返ったんだよな。そんで、チョイっとサムズアップして・・・ウィンクしたんだぜ!!
ばっか、恥ずかしいっつーの!!赤面するっつーの、こっちが!
って、普通なら思うんだろうけど・・・オレも三橋も水谷も・・・皆まとめてはわっとしちまったんだよな。違う意味で赤面したよ・・・あんときゃ。
そしたら、赤くなっているオレに、悠長にしてないでネクストバッターズサークルに入れって、『花井、ネクスト!』ってシガポに声掛けられちまったぜ・・・恥ずかしい。
ありえねぇ・・・15・16歳の野郎がやって様になるような仕草じゃねぇよ・・・あんなん。しかも、自然体で気取ったところないし。あれ、素なんだぜ?みんなヤラレタよ、あれに。しかも、その後、あのプレッシャーのかかる場面でツーストライクからきっちりスライダー捕まえて、振りぬいた。
それが、決勝点となったわけだ。
アレは・・・正直、痺れた。
キメる時は、あいつは必ずキメる。・・・あの後、オレは続けなかったんだよ、くそっ。
アイツ、頼もしいっつーか、カッコイイっつーか・・・。
あー!!ええと、だから、だな!
田島に声をかけられて、舞い上がっちまわないヤツはいないって話だよ!
オレだけじゃねーんだっつーの!ちくしょっ!
*ネクストバッターズサークルでの花井梓の独白
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