ベットに座っているオレは、机の上のボックスティッシュをとるのが面倒でこれでいいやって思ってポケットティッシュをベッドのすぐ下にある鞄に手を突っ込んで取り出すと、枕元に置いてうつ伏せになった。
そっと今日新しく降ろしたばかりのパジャマとパンツを一緒に下ろした。出来なかったらどうしようって思いながら、あそこを触った。柔らかいソコを、握ってみる。ちょっとは、気持ちよくてホッとした。それで、少し力を入れて上下に擦った。あ、よかった・・・勃ってきてる。オレは、もっと頑張った。じょじょに大きくはなったけれど、一定まで来るとそれ以上はどうにもならなかった。もどかしい気持ちばっかりで・・・泣きたくなる。
「うぇ・・・も、おわりたい・・・」



「 は じ め て の 4 」



 中途半端が辛いよ・・・これ以上に気持ちヨくなんないのに。一生懸命、手を止めちゃだめだって思ってないと、投げ出してしまいそうになる。
 強く握って、大きく手を動かしたら・・・先っぽの皮が被ってない生っぽいトコを強くコスってしまって思わず悲鳴を上げてしまいそうになった。
 それは、気持ちいいとも痛いとも違っていて。身体が大きく痙攣するような感覚だったから・・・オレは、思わず左手で毛布を掴んで口元に引き寄せて、それを噛んだんだけど・・・。
 え?って思った。
 だって、それは毛布じゃなかったから。噛んだ感触が違う。口の中にあるそれは、毛布じゃない。
 それに、匂いだって・・・違う。この匂いは、野球と整髪料の匂いだ。
 こ、これ・・・阿部くんの匂い?
「毛布じゃなくて、タオル・・・?」
 これ、阿部くんのタオル、だ。
と思った瞬間、身体がビクンと大きく跳ねた。まるで、反射みたいに。そして、体中の血が沸騰してカーッとなってぐらぐらと煮立ったみたいになった。
「え・・・や、やだ・・・!」
 手が・・・手が勝手に動いちゃう。
「な、なんで・・・こんな・・・?なに、こ、れ?んんぁ!」
 口の中に、唾液がじわあっと沸いて、それがタオルに染みこんでいくのがわかった。このままじゃ、阿部くんのタオルが涎だらけになっちゃうよ!でも、口からも鼻からも阿部くんの匂いがして・・・。瞑っちゃいそうになる目を必死で開いて、くわえたタオルの端を見ると、そこには一匹の黒いチーターがいた。
 ああ、やっぱりだ。
「あ、べ・・・くんっ」
 って、名前を呼んでしまった。
 そうしたら、もう・・・大変だった。
 耳の奥から、阿部くんの声が聞こえてきて。
『オレ、お前のこと好きだよ』
 阿部くんが三星で試合をした時に言ってくれた言葉。
あの時、阿部くんがオレの掌の肉刺とか胼胝とかを確かめるように触って・・・ぎゅって握ってくれた。阿部くんは顔を赤くして、真剣な目をしてた。オレが努力してるって認めてくれた。投げることスキだってことも、勝ちたいって気持ちも全部わかってくれて・・・凄く嬉しかったのに。純粋に、涙が出たのに。
 今・・・オレは、阿部くんが握ってくれた右手で・・・オナニーしてる。
 「あはぁん・・あ、あべくっ!」
 手が、止まらないよ・・・。オレがこんなに困っているのに、体がこの突き上げるような感覚をひたすら追っかける。身体と気持ちがばらばらになりそうで、恐いよ。
 下半身に凄い熱と力が集中してて、言葉に出来ない白く光るような感覚がどんどん大きくなる。止めた方が楽なのに、止まらないんだ。アソコの先っぽからとろとろと出てきた滑ったものが、滑りを一層よくしちゃう。
 これが、気持ちいいってことなのかな?
 オレは、いつの間にか目を閉じて腰を上げて、ガクガクと振ってた。手の動きと、腰の動きで今までにないくらい大きく勃起した自分のをコスってた。乳首が自分の体重でシャツにコスれるのが嫌で、両手を使えないのがまだるっこしくて、寝返りを打って仰向けになった。大きく足を開いて、好きなように両手を使った。
「やだ・・・やだ、よ・・・き、きもちい・・・よぉ、あべくん・・・」
 口の中のタオルを噛みしめながら、しゃくりをあげた。阿部くんの匂いに、胸がきゅっとなる。
 うう、止まんないよ・・・こんなになっちゃって。
 どうしよう、どうしよう、駄目なのに、駄目なのに・・・という気持ちが湧き上がってきたけど、阿部くんの優しい声がまた聞こえてきて・・・・。
『投手としてじゃなくてもオレはお前のことスキだよ!』
 あの時の、阿部くんの手の温度があそこをコスる自分の手に重なった瞬間、白い光が瞼の裏でぱぁんと大きく弾けた。
「あ・・はぁ・・・あべく、ん、あっ!!オ、オレも・・・すきっ! あべくんの、ことすきっ!」 
 そして、あらぬことを口走って・・・イっちゃった。
 きっと、オレは今回はじめて「ホントにオナニーでイク」ってことを知ったんだ。
 

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