「あ・・はぁ・・・」
 真っ白くなった頭が何とかものを考えられるようになったのは、出しちゃった白いのがオレのお腹の上で冷たくなった頃だった。
「ひとりで、できたよ・・・田島君。なんか、スゴク、凄かったよ・・・」
 オレの頭の中の田島君が『ちゃんとイケてよかったな、三橋!』って笑ったような気がした。


「 は じ め て の 5 」


 オレ、こんなになったのは、初めてだった。
 手が、止まんなかった。スゴイ、声も出ちゃったし・・・今考えると、恥ずかしい。
 途中で、阿部君の手がオレの手を握ったことを思い出して、その手でするなんて・・・って思ってからおかしくなったんだよ。阿部君がオレを好きだって言ってくれた時の声が聞こえてきた時は、もうなにがなんだかよくわかんなかった。タオルを噛まないと声が抑えられなって・・・自分じゃないみたいでびっくりした。
 そこで、オレは、はっとした。
「あ!あ、阿部君のタオル・・・!」
 ど、どこ?阿部君のタオルどこにあるの?
 うわぁーって焦って起き上がったら、お腹から腿にかけてとろーってさっき出したヤツが垂れてきちゃって、オレは慌ててベットの上においてあったポケットティシュでそれを拭いた。
 ティッシュはあっという間になくなっちゃった。前は、こんなに使わなかったのに・・・・。
 まだ、ちょっとべたついたけど、布団やパジャマを汚すほどじゃなかったから放っておいた。
 そんなことより、阿部君のタオル・・・どこ?
 キョロキョロ見まわすと、それはベッドの下におっこっていた。
「あった!」
 ベッドの上から手を伸ばして、床の上のタオルを取ろうとするけど少しだけ届かない。もっと腕を伸ばしてとろうとしたら。
「うわぁっ」
 ずるぅっと滑って、アタマから落ちそうになった。とっさにオレは床に手をついたから顔を床にぶつけることはなかったけど・・・ベッドの上に残ったのはお尻丸出しの下半身で・・・。今、オレはとってもマヌケな格好してる・・・情けない。
 ちょっと顔を動かすとそばに、黒いチーターのロゴがあって・・・スゴク恥ずかしくなった。あきらめて、普通にベッドから降りるとタオルを手にとったんだけど・・・。
「うう・・・阿部君ゴメンナサイ」
 あちこち触って確かめると濡れている部分に気がついた。きっと、これオレが咥えちゃったところだ、よ。
 せ、洗濯すればなんとかなるかな・・・?で、でも嫌だよね、こんなの。
 濡れたところを見てすごく悩んでるオレの目に、なんかちょっとヘンにシミなってる箇所をいくつか見つけて・・・。
「〜〜〜!!」
 ひぁあ!う、うそ・・・これって!!このシミって・・・!オレがさっき飛ばしちゃったやつが阿部君のタオルにかかっちゃった!?
「う、うえぇ・・・」
 目の前がぐにゃぁって曲がるようなショックでオレは半泣きなっちゃった。
 こ、こんな・・・オレ、どうしよう。何て謝ればいいんだ?
 阿部君はいつも言いたいことははっきり言え、嘘はつくなって言うけれど、『ごめんね、阿部君。オレ、オナニーしてて阿部君のタオルを口に入れちゃったうえに、出したやつを阿部君のタオルに飛ばしちゃったんだよ』なんて・・・。
 ムリ、です。絶対ムリです・・・!
「レン〜?起きてる〜?」
「!!」
 一階(した)からお母さんの呼ぶ声がして、ドキッとした。
 いくらなんでも今は『おきてるー』なんて返事は出来ないよ。
 用事があるなら、二階(うえ)に上がってくるかもしれない。
 オレはパンツとズボンを三秒で履くと、電気を消して、そのままベットに飛び込んで布団を頭から被った。お腹がカペカペしたけど、それはもう仕方がない。
 阿部君のタオルを手に握り締めて、暗闇の中、目を閉じずにじっとしていると階段を上る音が聞こえてきた。オレの部屋の前で足音が止まった。
「レン、寝ちゃったの?」
 ガチャッと音がして、ドアが開くと少しの光が部屋に差し込んできた。
 オレは、黙って身を固くしながらお母さんが一階(した)に行ってくれるのを待った。
 しばらくすると扉がしまって、部屋の外の気配が遠ざかっていくのがわかった。どぉっと疲れが押し寄せてきて、オレはそのまま目を閉じちゃったんだ・・・。

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*「はじめての6」はR15のテキストです。ご注意ください!

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